2012年11月9日金曜日

「ハングリー・ハート」ブルース・スプリングスティーン 〜誰も一人になんかなりたくはない〜

皆さん、こんにちは。


世の中には、生まれながら名曲として宿命づけられている楽曲があると思います。


人、それぞれ好みはありますし、
ジャンルも国も違いますが、
例えばベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」や
日本では長渕剛さんの「乾杯」などは、リリースされる前からこの曲は名曲と呼ばれるだろうと直感があったのではないかと思います。


そして、そういった楽曲の多くはシンプルな楽曲構成であったりするものです。



「ダニー・ボーイ」が国境を越え世界中の人々から愛されるのも分かる気がします。





1980年のブルース・スプリングスティーンの「ハングリー・ハート」は




まさにそんな楽曲ではないかと思います。


かのスプリングスティーンが特徴的な嗄れた声ではなくハイトーンのテナーボイスで歌い上げているのは、レコーディング時の加工によるものだと知ったのは最近のことです。
この曲はバックのEストリートバンドの的確なノスタルジックな演奏と
「ハッピー・トゥゲザー」のヒットで知られるタートルズのメンバーの二人、フロー&エディーのコーラスという鉄壁のアレンジもあって大ヒットをしたのです。

1980年、ジョン・レノンは亡くなる前にこの曲を絶賛したと言われています。

あえて書きませんが、この曲にインスパイアされたアーティストも沢山います。


この曲の誕生秘話が面白いのです。
パンクバンド ラモーンズのジョーイ・ラモーンに提供する予定だったのものを、プロデューサーのジョン・ランドゥのアドバイスにより自身用の楽曲として残したのです。ラモーンズ用の楽曲なので基本4コードのシンプルな進行です。

スプリングスティーンは、圧倒的なライブパフォーマーであり、若者が抱えている社会への怒りや悲しみを表現できる詩人でもありました。
そして、パンクミュージシャンにも支持された希有な存在になったのです。
事実、彼の「ビコーズ・ザ・ナイト」はかのパンクの女王パティ・スミスによって大ヒットしました。


またスプリングスティーンは収録アルバム「ザ・リバー」にはこの曲をボツ扱いで落とすつもりだったのですが、メンバーのすすめで収録、シングルカットしトっプテンヒットとなったという逸話は天才ミュージシャンらしいエピソードです。


まさに幾つかの事件を通り抜けてこの曲は我々の手元にあるのです。





この曲、やはり「詩」がいいのです。

決して明るい内容でないのに心を打つのは、
この曲が誰もが抱えている心の機微を映しているからではないしょうか。


どんなに気ままに生きているように見えても、
人は心に何か満たされないものを抱えて生きているものです。



どんなにお金を貯めて自分の役を演じてみても、
誰もが満たされぬ心を持っている。



そして、
休息の地を、
自分の家庭を、
自分は一人ではないんだという確信を

皆、持ちたいのです。




この歌もまた「求道者」のための歌なのです。





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