事情で行くことができなくなったのでチケットを上げるから行かないかという内容だった。
しかも、今日。
開演まであと2時間。
話を聞いてみるとなんとイ・ムジチ合奏団のコンサートだという。
1952年にサンタ・チェチーリア音楽院の卒業生で結成された名門中の名門楽団である。
おそらく、オリジナルメンバーはすでに残っていないだろう。
何とか体調を整え行ってきた。
中学生になった頃、読んでいた漫画にこの楽団の名前があった。
僕のフェイバリットな漫画家である藤子不二雄先生(僕はFとかAとかいうように分けない。あくまで藤子先生は1人称だ)の「エスパー魔美」だった。
「エスパー魔美」はずっと後にアニメ化もされた藤子先生の魔法もの少女漫画だ。
もっとも男が読んでも十分楽しめる作品で、どちらかといえば対象年齢が高めのスリリングで時々、サスペンスタッチな展開にもなる傑作だった。
主人公の魔美の友人にクラシック好きがいて訪ねれば必ず何かクラシックを聞かされるという展開だったような気がする。
まだ10代前半だった自分はその突飛な聞き慣れないイタリアの楽団の名前をしっかりと記憶してしまった。
当時、80年代前半はラジオが音楽情報の中心だった。
ビートルズから音楽にのめり込んでいった僕も次第にクラシック、ジャズも聞くようになりFM雑誌の「FM Station」を片手にラジオから流れる気に入った曲を片っ端からテープに録音していた。
そんな頃、イ・ムジチ合奏団の演奏するビバルディの「四季」がスピーカーから流れてきた。
来日コンサートのCMだった。
実在の楽団だと初めて知った。
数ヶ月後、その来日公演の模様が On Air されたのを聞いた。
ビバルディ作曲の美しい弦楽の調べに聞き惚れてしまった。
それ以来、僕にとってイ・ムジチはカラヤンやバーンスタインよりもク
ラシックを象徴するキーワードになった。
時が流れ、そんな少年時代の記憶も忘れていた頃、
そうまさに今日、イ・ムジチ合奏団の生演奏を聞く機会に恵まれた。
「四季」ももちろん演奏されたが、他の選曲も素晴らしかった。
アンコールには「子供の頃の楽しい記憶」という紹介から「赤とんぼ」
が演奏されたがこれが想像以上の美しさだった。
イ・ムジチ合奏団、
藤子先生、
チケットを譲ってくれた方、
ともにありがとう。
「四季」は「春」もいいが「冬」がいいと思いませんか。
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